宅建業法⑨「媒介契約の規制」【宅建独学コース】

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宅建業法①~

媒介」(仲介)とは、売主や買主、貸主や借主から依頼を受けて、売買・交換・貸借の手助けをする業務のことです。

※媒介契約に関する以下の規定は、代理契約の場合にも準用されます。

 

「媒介契約」の種類

媒介契約」は、民法上の委任契約の一種です。

例えば、土地を売りたい人から依頼を受けた宅建業者が、買主となる人を探索して、契約を成立のための手伝いをする、という取引の形になります。

この「媒介契約」には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」と、大きく分けて3つの契約の種類があります。

「一般媒介契約」

「一般媒介契約」とは、依頼者が、同一の物件について、複数の宅建業者媒介の依頼をすることができるという媒介契約です。

また、一般媒介契約には、依頼した宅建業者に、他にも依頼した宅建業者を明示する、「明示型」と、明示しなくていい「非明示型」があります。

 

「専任媒介契約」

「専任媒介契約」とは、依頼者が、同一物件について、複数の宅建業者媒介の依頼をすることができない、媒介契約です。

ただし、依頼者が自ら発見した相手と、直接契約をすること(自己発見取引)は、禁止されていません。

 

「専属専任媒介契約」

「専属専任媒介契約」とは、依頼者が、依頼した宅建業者の探してきた相手以外と契約ができない特約をした、媒介契約になります。

したがって、依頼者が自ら発見した相手方と、直接契約することも禁止されます

専任媒介契約よりも縛りの強い契約ですが、その分、宅建業者が優先して迅速な業務を行ってくれるメリットもあります。

 

専任・専属専任媒介契約の規制

「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」に関しては、いずれも、依頼者は他の宅建業者に依頼できないという拘束を受けるため、依頼を受けた宅建業者が積極的な業務を行うように、以下のような規定が定められています。

 

契約の有効期間

「専任・専属専任媒介契約」の有効期間は、3ヶ月以内に限定されています。

3ヶ月よりも長い契約を結んだとしても、3ヶ月を超える部分の契約は無効になります。

また、契約の更新は、依頼者からの申し出があった場合にのみ認められ、自動更新の特約は無効となります

なお、更新後の有効期間も3ヶ月以内となります。

 

依頼者への業務報告

依頼を受けた宅建業者は、業務の処理状況を一定の頻度で依頼者に報告する義務があります。

  • 「専任媒介契約」…2週間に1回以上。(休業日も含む)
  • 「専属専任媒介契約」…1週間に1回以上。(休業日も含む)

これに加え、売買の申し込みがあった場合は遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければいけません。(申し込み報告の義務は一般媒介契約も同様です。)

報告は、電子メール口頭でもOK。

 

指定流通機構への登録

「専任・専属専任媒介契約」では、依頼を受けた物件を、一定の期間内に、国土交通省令で定める指定流通機構へ登録しなければいけません。

  • 「専任媒介契約」…契約日から7日以内。(休業日を除く
  • 「専属専任媒介契約」…契約日から5日以内。(休業日を除く

一般媒介契約の場合は、「指定流通機構」への登録は義務化されていません。

 

「指定流通機構」

「指定流通機構」とは、「レインズ」と呼ばれる、各宅建業者が依頼を受けた物件の情報を共有し、安全かつ迅速な不動産取引を実現させることを目的とした、国土交通大臣が指定した不動産の流通システムです。

 

指定流通機構への登録事項

  • 所在、規模、形質
  • 売買すべき価額(交換の場合は評価額)
  • 法令に基づく制限で主要なもの
  • 専属専任媒介契約である場合は、その旨

 

登録をした宅建業者は、「指定流通機構」が発行した登録を証する書面を、遅滞なく、依頼者に引き渡さなければいけません

また、指定流通機構に登録した物件について売買・交換の契約が成立した時は遅滞なく、「登録番号」と「取引価格及び契約成立年月日」を、指定流通機構に通知しなければいけません。

 

「媒介契約書」の作成・交付

宅建業者は、宅地・建物の売買または交換媒介契約を締結したときは、遅滞なく、一定事項を記載した「媒介契約書」を作成し、記名・押印したうえで、依頼者に交付しなければいけません

貸借媒介・代理については、書面の作成・交付の義務はありません。

 

「媒介契約書」の記載事項

①所在・地番等、宅地建物を特定するために必要な表示
②宅地建物を売買すべき価格またはその評価額

(宅建業者が価格・評価額について意見を述べるときは、口頭または書面にて、その根拠を明らかにしなければいけない。)

③媒介契約の種類

(一般明示型・非明示型、専任、専属専任の別。)

④既存の建物である時は、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項

(「建物状況調査を実施する者」とは、建物の構造耐力上主要な部分または雨水の侵入を防止する部分の調査をする者「一級建築士・二級建築士・木造建築士であり、国土交通大臣が定める講習を修了した者」のこと。)

⑤媒介契約の有効期間

(専任、専属専任の場合は3ヶ月以内。)

⑥媒介契約の解除に関する事項

(媒介契約を中途に解約する場合の要件・効果等を記載。)

⑦報酬に関する事項

(報酬及び報酬に対する消費税額のほか、支払い時期等も明示。)

⑧指定流通機構への登録に関する事項

(一般媒介契約には、指定流通機構への登録義務はないが、登録するか否か、または登録する場合は登録に関する事項を記載しなければいけない。)

⑨依頼者が契約に違反した場合の措置

  • 明示型の一般媒介で、依頼者が明示していない、他の宅建業者の媒介によって売買契約等を締結した時の措置。
  • 専任媒介で、依頼者が、他の宅建業者の媒介により売買契約等を締結した時の措置。
  • 専属専任で、依頼者が、宅建業者が探索した相手方以外の者との間に売買契約等を締結した時の措置。
⑩標準媒介契約約款に基づくか否かの別

(「国土交通大臣が定める媒介契約のひな形」に基づく契約なのか違うのかを記載。)

 

媒介契約と代理契約の違い

媒介」の場合、宅建業者が土地を売りたい人から依頼を受け、その土地を買いたい人を見つけたとしても、依頼を受けた宅建業者が、その人と直接契約を結ぶことはできず、依頼人(売主)と買主との間に入って両者が契約を結ぶ機会を作ることしかできません。

これに対して、「代理」の場合は、依頼を受けた宅建業者が、土地を買いたい人を見つけてきて、その人と依頼人の土地について、依頼人を売主とする売買契約を、依頼人に代わって結ぶことができます

要するに、宅建業者に契約締結の権限が、「ある」か「ない」か、の違いですね。

 

「媒介契約の規制」まとめ

媒介契約には、大きく分けて

  • 一般媒介契約」
  • 専任媒介契約」
  • 専属専任媒介契約」

の3つがある。

 

媒介契約の規制等

一般媒介 専任媒介 専属専任媒介
有効期間 規制なし ヶ月以内 ヶ月以内
更新手続き 規制なし 依頼者の申し出が必要 依頼者の申し出が必要
報告義務 規制なし 週間に1回以上 週間に1回以上
指定流通機構への登録 規制なし 契約締結日から日以内 契約締結日から日以内
媒介契約書の作成・交付 必要 必要 必要

 

・媒介契約書の作成・交付は、契約後遅滞なく

・媒介契約の規定は、代理契約にも準用される。

ゴロ覚え。専任327る(せんにんさんになる)、専属15(せんぞくさんいいこ)

 

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