宅建業法⑪「37条書面」(契約書面)【宅建独学コース】

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宅建業法①~

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売買契約は、売主と買主の口約束だけでも成立します。

しかし、口約束だけの契約だと、万が一トラブルが発生した時に、契約内容を証明する証拠がないため、「言った、言ってない」など口論となりやすく、トラブル解決が難しくなってしまいます。

売ってくれるって言ったのに!!怒

そこで宅建業法では、万が一に備えて、宅地・建物の契約を締結した場合、一定の契約内容を記載した「書面」を作成・交付することが義務付けられています

お互いの合意内容を、書面として残しておけば、万が一の時、契約内容の証拠になるので安心ですね。

この書面は、宅建業法第37条に規定されていることから、「37条書面」と呼ばれており、一般的に「契約書」と呼ばれるものと同じものになります。

 

「37条書面」(契約書面)の交付

宅建業者は、契約締結後、遅滞なく、一定の事項を記載した書面(37条書面)を作成し、宅地建物取引士に記名・押印させた上で、取引の当事者に交付しなければいけません。

また、たとえ取引の相手が、宅建業者であっても、「37条書面」の作成・交付を省略することはできません

相手方から、不要という申し出承諾があったとしても、書面の作成・交付を省略してはいけません

 

37条書面の交付

説明は? 不要
誰が作成・交付する? ・宅建業者(※宅建士ではない
記名・押印は誰がする? ・宅地建物取引士
誰に交付する? ・契約当事者(売主・買主、貸主・借主)
いつ交付する? ・契約成立、遅滞なく交付
複数の宅建業者が関与する場合 すべての宅建業者の宅建士による記名・押印が必要

・作成・交付は、いずれかの宅建業者が代表で行えばよい

 

 

「37条書面」交付義務者

37条書面を作成・交付する義務を負うのは、取引に関わるすべての宅建業者です。

 

宅建業者が当事者の場合

宅建業者は、自ら当事者として宅地・建物の売買・交換の契約を締結したときには、それぞれ相手方に「37条書面」を交付する義務を負います。

37条書面業者間

業者間取引でも、それぞれの業者が交付しなければいけません。

宅建業者が代理・媒介の場合

宅建業者が代理・媒介をして宅地・建物の売買・交換・貸借の契約をしたとき、宅建業者は、すべての契約当事者に「37条書面」を交付する義務を負います。

37条書面代理・媒介

 

ちなみに、「自ら貸主」となる宅建業者には、宅建業法が適用されないため交付義務はありません。

参考記事→宅建業法①「宅建業」「事務所」【宅建独学コース】

 

「37条書面」の記載事項(「35条書面」と比較)

「37条書面」の記載事項は、以下の2つに分かれています。

  • 必要的記載事項(必ず記載しなければいけない事項)
  • 任意的記載事項定めがある時に限り、記載しなければいけない事項)

 

35条書面と類似した事項も多いため、混同しないように注意が必要です。

35条書面についての記事は→宅建業法⑩「重要事項の説明」【宅建独学コース】

 

必要的記載事項(必ず記載)

売買・交換 貸借 35条書面
①当事者の氏名・住所 ×
②宅地・建物を特定するために必要な表示 ×
代金・交換差金・借賃の額 ×
引渡しの時期 ×
移転登記の申請の時期 × ×
⑥当事者が確認した事項(建物状況調査) ×

=35条書面では、建物状況調査の有無と概要、書類の保存状況を記載。

 

35条書面についての記事は→宅建業法⑩「重要事項の説明」【宅建独学コース】

 

任意的記載事項(定めがあれば記載)

定めがあれば記載

売買・交換 貸借 35条書面
①代金・交換差金・借賃以外の金銭。・その額、授受の目的
                 ・授受の時期 ×
②契約の解除
損害賠償の予定・違約金
④金銭の貸借(ローン)のあっせん ×

売買○

貸借×

天災その他不可抗力による損害の負担 ×
⑥担保責任の内容 × ×
⑦担保責任の履行措置 × 売買○

貸借×

租税その他の公課の負担 × ×

 

「37条書面」(契約書面)まとめ

  • 37条書面」=「契約書
  • 契約締結後、取引に関わるすべての宅建業者に作成・交付義務あり。
  • 記名・押印は、宅地建物取引士がする。
  • 説明は不要。
  • 契約の両当事者交付
  • 記載事項には、必要的事項と任意的事項がある。

 

35条書面との比較

35条書面 37条書面
目的 契約前の判断材料 契約後のトラブル防止
交付相手 買主・借主・交換の両当事者 契約の両当事者
説明
  • 宅建士が宅建士証を提示して、口頭で説明
  • 相手方が宅建業者の場合は説明不要
説明不要
記名・押印 宅地建物取引士 宅地建物取引士

 

35条書面についての記事は→宅建業法⑩「重要事項の説明」【宅建独学コース】

 

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