宅建業法⑩「重要事項の説明」【宅建独学コース】

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宅建業法①~

もし分譲マンションを購入した後に、犬を飼おうとしたら、「ペット飼育禁止」という規約があった…、なんてことがあったら大変ですよね。

こういったトラブルを防ぐために、宅建業者には、契約締結に「最低限これだけは説明すべき」事項として、『重要事項の説明』が義務付けられています。

 

重要事項の説明・交付義務

宅建業者は、宅地・建物の取引により権利を取得しようとする者(買主、売主など)に対して、その契約が成立するまでの間に、宅建業法で定められた一定の事項を記載した重要事項説明書(35条書面)を作成・交付して、宅地建物取引士に、その説明をさせなければいけません。

 

※重要事項説明書…重要事項の説明は、宅建業法第35条に規定されているので、この書面を35条書面ともいいます。

 

重要事項の説明・交付

誰が説明する? 宅地建物取引士(※専任の宅建士である必要はない
誰に説明する? 権利を取得しようとする者。

  • 売買の場合…買主
  • 貸借の場合…借主
  • 交換の場合…両当事者
いつ説明する? 契約の成立
どのように説明・交付する?
  • 宅建士の記名・押印がある重要事項説明書(35条書面)を交付し、口頭で説明。
  • 説明の際には、請求の有無を問わず、必ず宅建士証を提示
どこで説明する? 規制なし(どこでもOK)

 

※35条書面の作成・交付は宅建士が行う義務はなく、宅建業者が行えます。(記名・押印・説明が宅建士の義務となっています。

 

賃貸契約に限り、テレビ会議等のITを活用したリモートの説明でも良いことになっています。

ちなみに、権利を取得しようとする者が、宅建業者の場合は、書面の交付だけで足り、説明を省略することができます。

 

 

複数の宅建業者が関与する場合

取引に複数の宅建業者が関与している場合、すべての業者に説明義務が生じます

 

例えば、売主から依頼を受けた宅建業者Aと、買主から依頼を受けた宅建業者Bが、契約成立に向けて媒介をする場合、

35条書面複数業者

いずれかの宅建業者が作成した重要事項説明書(35条書面)に、AとBの宅建士が共同でに記名・押印して、どちらかの宅建士が代表して説明する。ということになります。

 

重要事項説明書(35条書面)記載事項

重要事項説明書(35条書面)に記載すべき事項は、以下の4つに分類されます。

 

  • 取引物件に関する事項
  • 取引条件に関する事項
  • 区分所有建物に関する追加事項
  • 貸借に関する追加事項

 

取引物件に関する事項

売買 貸借
宅地 建物 宅地 建物
登記された権利の種類
法令に基づく制限
私道に関する負担 ×
④供給施設(水道・電気・ガス)、排水施設の整備状況
工事完了時の形状・構造
造成宅地防災区域内にあるときは、その旨
土砂災害警戒区域内にあるときは、その旨
津波災害警戒区域内にあるときは、その旨
石綿(アスベスト)の使用の調査結果の記録がある場合
耐震診断を受けている場合
住宅性能評価を受けた新築住宅である場合 ×
既存住宅…建物の状況調査(インスペクション)
     …書類の保存状況 ×

 

取引条件に関する事項

売買 貸借
宅地 建物 宅地 建物
①代金・交換差金・借賃以外の金銭
②契約の解除に関する事項
損害賠償の予定・違約金に関する事項
手付金等の保全措置の概要 × ×
支払金・預り金の保全措置の概要
⑥金銭の貸借のあっせん(住宅ローン等のあっせん) × ×
⑦(瑕疵)担保責任の履行措置の有無・概要 × ×
割賦販売(分割支払い)に関する事項 × ×

 

区分所有建物に関する追加事項

※区分所有建物=マンション

区分所有建物
売買 貸借
専有部分の用途・利用の制限(案も含む)(ペット飼育制限など)
管理委託先
敷地に関する権利の種類・内容 ×
共有部分に関する規約(案も含む) ×
⑤専用使用権がある場合(案も含む) ×
特定の者への費用の減免がある場合(案も含む) ×
修繕積立金(案も含む) ×
管理費用の額(滞納があればその額も) ×
⑨維持修繕の実施状況(記録) ×

⑦の修繕積立金は、すでに積み立てられてる場合にはその額の説明も必要です。

 

貸借に関する追加事項

貸借
宅地 建物
設備の整備状況(台所・浴室・便所等)
契約期間・契約更新
更新のない賃貸借契約(定期借地権・定期建物賃貸借・終身建物賃貸借)
④用途や利用の制限(ペット飼育・リフォームなどの制限)
敷金など金銭の精算
⑥管理の委託先
⑦宅地上の建物の取壊し(予定)

 

+α 供託所等に関する説明

宅建業者は、契約が成立するまでに、お客さんに対して、供託所等に関する事項を説明しなければいけません。

 

説明する方法は、文書でも口頭でもよく、宅建士が説明する必要もありません

なお、お客さんが宅建業者である場合、供託所等に関する事項についての説明をする必要はありません。

 

一般的には、35条書面に供託所等に関する説明を記載し、宅建士が重要事項の説明と合わせて行うことが多いです。

 

供託所に関する説明事項

宅建業者が保証協会に加入していない場合

  • 営業保証金を供託した供託所とその所在地

 

宅建業者が保証協会に加入している場合

  1. 保証協会の社員である旨
  2. 保証協会の名称・住所・事務所の所在地
  3. 保証協会が弁済業務保証金を供託している供託所、その所在地

 

「重要事項の説明」まとめ

重要事項の説明

  • 契約が成立するに、宅建士が記名・押印をした重要事項説明書(35条書面)を交付して、宅建士が口頭で説明しなければいけない。
  • 相手が宅建業者の場合は、口頭の説明は不要。
  • 重要事項説明書の作成・交付は宅建士でなくて良い。
  • 説明時、相手方の請求がなくても宅建士証を提示する義務あり
  • 説明する相手は、権利を取得しようとする者(買主・借主・交換の両当事者)
  • 取引に複数の宅建業者が関与している場合、すべての業者に説明義務あり

 

重要事項説明書(35条書面)の記載事項

  1. 取引物件に関する事項
  2. 取引条件に関する事項
  3. 区分所有建物に関する追加事項
  4. 貸借に関する追加事項

 

供託所等に関する説明

  • 契約が成立するまでに、文書または口頭で行う。
  • 宅建士が説明する必要はない。
  • 宅建業者に対しては説明不要。

 

 

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